前作からのつづき。
目次
ダンス・ダンス・ダンス(上・下)(1988年出版)
登場人物
「僕」「魔力的なほどに完璧な形をした1組の耳をもった女の子(キキ)」「羊男」
「僕」と付き合っている女性(26歳):電話局に努めている(「僕」のほかに恋人あり)
ユミヨシさん:新ドルフィン・ホテルの受付で働く眼鏡をかけた女の子
五反田君:「僕」の中学時代の同級生、映画スター
メイ:ゴージャスな雰囲気をもつ高級コールガール
ユキ:13歳の綺麗な女の子(登校拒否中)
アメ:有名な女流写真家、ユキの母親
牧村拓:小説家、ユキの父親
ディック・ノース:アメのボーイフレンド、片腕の詩人(日本に妻子あり)
ジューン:ハワイの高級コールガール(東南アジア系)
刑事:「漁師」と「文学」
五反田君の別れた妻:家族に管理されている元女優
元共同経営者:「僕」の友人
時系列
1979年1‐6月、「僕」が家に引きこもっていた期間。
1979年5月、台所で猫のいわしが死んでいた。
1979年秋、文化的雪かき開始(社会復帰)
1983年3月、よくいるかホテルの夢を見る。
その後の展開
「僕」は34歳にして出発点に戻り、キキを取り戻すべく、いるか(ドルフィン)ホテルを再び訪れることを決意。しかし、ホテルはすでに建て替わっており、ホテルの名前以外昔の面影はまったく残されてはいないはずも、突如16階に「僕」の世界が現れる。そこでは「羊男」がずっと繋ぐ役目をはたしながら「僕」の再訪を待っていた。
「踊るんだよ、音楽の続く限り」と羊男が言った。
キキの手がかりは、札幌で暇を持て余して偶然入った映画館で、中学の同級生であり、現在は映画スターとなっている五反田君の映画のワンシーンに彼女を見つけ、彼にコンタクトを取る。また、ドルフィン・ホテルで母親に置いてきぼりにされた13歳の美少女ユキの面倒を見る羽目になり、いくつかの新しい交流が芽生える。
その後、「僕」が巻き込まれた殺人事件の後、ユキに同行して訪れたハワイでキキを見かける。そこで、いくつかの死体が実は「僕」に繋がっていると感じる体験をすることになる。
これまで色々なものを失ってきたことで自分でも何を求めているのかわからなくなってしまった「僕」が、解いてしまった繋ぎ目を羊男の力を借りて繋ぎなおす再生の物語。
おすすめポイント
前作の「羊をめぐる冒険」の続編ではあるものの、かなりのブランクがあるため、前編で「僕」の自己紹介的なものや、登場人物等について補足が添えられているので、ここから読んでも大丈夫だと思います。
小説としてはかなり洗練されているので読みやすいのですが、札幌から東京・箱根・ハワイ等への場面展開や、登場人物の繋がりが、うっかりすると本題がなんだっのか見失いそうになります。更に「僕」のうつろいや春樹ワールドが自然と濃くなっているので頭の中は迷走(瞑想?)状態。
その状態を楽しめたら「ハルキスト」の可能性大です☆
中年に差しかかった男の刹那的な感傷が見せる幻想か?、なんてね。
余談ですが、ハワイ滞在中に飲んでいる”ピナ・コラーダ”がすごく美味しそうで憧れました。
村上春樹の小説に見られる共通点
3人称で語られることが多い。
補足)登場人物の名前が曖昧な場合やカタカナ名が多い。
名前についてですが、「羊をめぐる冒険(下)」で猫に名前を付けずに飼っている理由を「僕」が下記のように説明しています。
きっと名前というものが好きじゃなかったんだろうね。僕は僕で、君は君で、我々は我々で、彼らは彼らで、それでいいんじゃないかって気がするんだ。
これは、作家本人の本音っぽいです(笑)
興味を持っていただけたら、試しに読んでみて下さい。
読んだことのある方は…、こんなまとめ方でごめんなさい!!
よく登場するアイテム
パスタ、サンドイッチ、オムレツ、ビール、コーヒー、煙草、ウィスキー、井戸、中国人、双子、猫、水泳など
この辺抑えて読んで頂くと「出てきた!」て思って頂けるのではないでしょうか。
また、色々ご紹介させて頂きます。