【村上春樹の原点】初期の4作品よりオリジナルなまとめとおすすめポイント「1973年ピンボール」

村上春樹作品

前作からのつづき。

【村上春樹の原点】初期の4作品よりオリジナルなまとめとおすすめポイント「風の歌を聴け」
村上春樹の初期4作品「僕」シリーズを独自の視点でまとめてみました。初回はデビュー作「風の歌を聴け」

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1973年のピンボール(1980年出版)

第83回芥川龍之介賞および第2回野間文芸新人賞候補作品

登場人物

「僕」「鼠」「ジェイ」

直子(20歳):同年代の「僕」の愛した女の子

髪の長い少女:同じアパート半年間だけ住んでいた2階の住人

双子の女の子:「208」と「209」

共同経営者:「僕」の友人

足の長いよく気の付く女子事務員(20歳)

ピンボールマニアのスペイン語の大学講師

設計事務所で働いている鼠の付き合っている女性(27歳)

これは「僕」の話しであるとともに鼠と呼ばれる男の話しでもある。その秋、「僕」たちは7百キロも離れた街に住んでいた。

時系列

1969‐1973

1969春、「僕」は日当たりのよいラウンジで直子の話を聞いていた。

1970年春、「鼠」は大学を退学。

1970年、スリーフリッパー「スペースシップ」はジェイズ・バーに存在。

1970年秋-冬(半年間)、「僕」は下宿の1階住み、2階に住んでいた髪の長い少女の電話を取りつぐのが日課。

(僕)多かれ少なかれ、誰もが自分のシステムに従って生き始めていた。それが僕のと違いすぎると腹が立つし、似すぎていると悲しくなる。

1970年冬、「僕」は東京のゲームセンターで同じ型のピンボールを探し出すが、翌年の2月、そのゲームセンターが取壊されたのを最後に紛失。

1973年、「僕」はスリーフリッパー「スペースシップ」に呼ばれるのを感じ、再び探し始める。

1973年5月、直子の話してくれた“プラットフォームを縦断する犬”に会いにいく。

1973年9月、この小説はそこから始まる。それが入口だ。出口があればいいと思う。もしなければ、文章を書く意味なんて何もない。

その後の展開

「僕(24歳予定)」は拾った双子の女の子を見分けるため「208」と「209」のTシャツを着せ、3人でコーヒーを飲み、夕方にはロストボールを探しながらゴルフコースを散歩する等が日課。仕事は友人と東京で翻訳を専門とする事務所を立上げ順調なはずも、時折、空っぽなってしまったような気分を味わう。

「鼠(25歳)」は相変わらず、ジェイズ・バーで過ごす日々のかたわら、週末を設計事務所で働いている女性と過ごしていた。そんな彼も25年間、自分自身が何も身に付けてこなかったような気分におそわれていた。

ここ余談ですが…、

「直子」が登場しています。「ノルウェーの森」を読んだことのある方ならピンきますよね?

前作の「風の歌を聴け」でも「僕」が寝た3番目の仏文科の同級生は、出会った翌年の春、テニスコートの雑木林で首を吊って死んでいます。

各々「僕」との接点を考えると完全なる同一人物ではないようには思うのですが、作者の頭の中には漠然と描かれていたのではと…思い込み?

おすすめポイント

学生が社会に適応していくこと、大人になることへの戸惑いと憂鬱さが表現されているような気がします。

「僕」は社会に適応しているかのように見えて、内なる戸惑いを双子との非現実的な生活で均衡を保っているかのようです。一方、「鼠」からはただ生きているだけの自分が社会に出る意義を見出せないでいるジレンマを感じます。

この二人のオムニバス的なダブルストーリが交互に展開。

「僕」の口癖“やれやれ”が登場。

大人になった「僕」ならではの口癖なのかもしません。当時、私も頭の中でも流行っていました(笑)

「羊をめぐる冒険(上・下)(1982年出版)」つづく

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