前作からのつづき。
羊をめぐる冒険(上・下)(1982年出版)
第4回野間文芸新人賞を受賞
登場人物
「僕」「鼠」
ほっそりとした素敵な体と魔力的なほどに完璧な形をした1組の耳をもった「僕」のガールフレンド(21歳)※次回作にてニックネームは「キキ」
彼女の3つの職業(出版社の校正係・耳専門の広告モデル・高級コールガール)
共同経営者:「僕」の友人
羊博士:綿羊会館館長
いるか(ドルフィン)ホテル支配人:羊博士の息子(指を2本失くし禿げかかっている)
奇妙な男:黒服の秘書
先生:右翼の大物
クリスチャンの運転手
猫のいわし
羊男:頭からすっぽり羊の皮をかぶった男
時系列
1970年、「僕(21歳)」が寝た(推定4人目)誰とでも寝る女の子は「25まで生きるの」と宣言し、1978年7月、26歳で死んだ。
1973年、「鼠」街を出る。
1977年12月、「鼠(29歳)」からの1回目の手紙と小説を同封。
1978年5月、「鼠」からの2回目の手紙(3つの依頼)
羊写真掲載の依頼、ジェイズ・バーで鼠の分もビールを飲むこと、残してきた彼女に会ってもらうこと
1978年6月、「僕(29歳)」の帰郷
僕は29歳で、そしてあと6カ月で僕の20代は幕を閉じようとしていた。何もない、まるで何もない10年間だ。僕の手に入れたものの全ては無価値で、僕の成し遂げたものの全ては無意味だった。僕がそこから得たものは退屈さだけだった。
1978年7月、「僕」は友人と定期的に寝ていた妻(26歳)との4年の結婚生活が終了。
1978年9月、「僕」は特殊な力をもった耳の持ち主であるガール・フレンドが出来る。
その後の展開
表情のない奇妙な男(黒服の秘書)からの依頼で背中に星型の斑紋ある羊を探す依頼を受ける羽目に。すべては「鼠」から送られてきた1枚の写真に謎は隠されていた。
「僕」は彼女を連れ、権力者である“先生”を救うため幻の羊を探しに北海道へ渡る(これが冒険の始まり)。
彼に与えられた猶予は1ヶ月。彼女の耳の能力のおかげで、いるか(ドルフィン)ホテルに辿りつき、羊博士に出会い、幻の羊の能力を知ることになるが…。
「僕」は「鼠」に会い、幻の羊を見つけることは出来るのか?
おすすめポイント
村上作品にしては珍しくサブタイトル(目次)があるので読みやすいです。
この作品から彼の不思議ワールドが展開されるのですが、まだ現実との整合性がとれているので理解し易い作品ではないでしょうか。
30歳を目前にした「僕」の生活や仕事の分岐点となる出来事が続きます。
春樹初心者はこの辺から読まれては如何でしょ?
「ダンス・ダンス・ダンス(上・下)(1988年出版)」につづく